企業での
活用事例

導入企業の声

自主保全士を通じたPM意識向上と人間力育成

  • リョービ株式会社 ダイカスト本部 広島工場(広島県府中市)
  • TPM推進課係長 濱岡伸幸氏

  • 主要製造品目:ダイカスト品の製造・販売
  • 受験歴:2級は2005年度から、1級は2007年度から(連続13回目)
  • 延べ合格者数:1級=57名、2級=514名 合計571名(重複合格者含む)

当事業場では、2005年にTPM活動をキックオフして13年が経過した。
多くの企業において人財育成の一環として広く受け入れられている自主保全士検定試験のチャレンジは、2級が2005年度から、また1級は2007年度からそれぞれ開始した。企業会場の設置は2006年度から2017年度まで連続12回実施してきている。2018年度も123名が受験予定である。
これまでに1級取得が57名、2級取得が514名の合計571名(重複合格含む)が合格している。

製造・保全部門から対象を拡大。専門用語の共通化も進む

チャレンジ当初は主に製造部門の職制およびオペレーターや専門保全であったが、その後スタッフや技術部門にも対象を拡大し、若手からベテランまで年齢層も幅広くなっている。また、女性のチャレンジも2007年度から開始しており、取得者数も増加傾向にある。
多くの社員が自主保全士資格を取得したことにより、専門用語への理解も深まり、使うべき用語の共通化につながってきていることから、TPM推進委員会での協議を経て、2017年度より新入社員と中途入社社員にチャレンジさせている。

受験環境の整備を通じて、PM意識の向上と人間力育成を目指す

受験しやすい環境の整備として、当事業場を試験の企業会場とした。また近隣のグループ企業や取引先からも受験ができるように配慮している。
勉強しやすい環境の整備においては、受験準備講座を勤務時間中に1回当たり約4時間、3回実施している。基本となる「自主保全士検定試験 傾向と対策」の書籍は、チャレンジの初年度から最新版を受験者全員に無償配布している。これは試験対策という側面もあるが、PMに対する意識を高めてもらい、現場力育成と人間力育成のためというねらいもある。

本番さながらの模擬試験により合格率向上。成績優秀者を数多く輩出

現在、これ以外のテキストとしては学科試験と実技試験の過去問題集をTPM推進課において毎年編集して、閲覧できるようにしている。出題される内容が毎年少しずつレベルアップしており、それに対応するため、独自に分析をして過去問題をすべて解説している。
合格率をアップさせる工夫として、合格率が伸び悩んでいた2013年度から、学科と実技の模擬試験を行うことにした。本番さながらの模擬試験を行い、合格基準を満たさなければ追試という仕組みにしたことにより合格率向上がみられた。
このような地道な活動の結果、受験者の知識レベルも向上し、2017年度の試験では全国で2級の50名程度が選ばれる成績優秀者の中に、当事業場から9名が選ばれた。
今後、自主保全士検定試験へのチャレンジを単に資格を取得するためでなく、自分の知識を増やし、仕事の質を高めることに繋げられるものだと思えるような仕掛けをしなければならないと考えている。

他資格との相乗効果による社員のモチベーション向上を期待

多くの企業において、業務上必要な専門知識・技術を資格取得させていると推察する。当事業場は自主保全士資格だけでは十分でないと考えており、職場の特性に応じて、機械保全、機械加工、ダイカスト、機械・CAD製図などの技能検定の資格取得も推奨している。このような資格取得推進により、社員のモチベーションが更に高まることを期待している。

人財育成を通じて、「活力ある職場への変革」を発信し続ける

全員参加で職場から生産活動を脅かす問題(災害・不良・故障)の未然防止を図り、問題をつぶし込んでいくことの大切さを感じている。人財育成を通じ、「職場の困り事を改善し楽に安全に働ける活力ある職場に変えていこう」を発信し続けたい。

※本記事は2018年8月掲載時の情報です。