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自主保全士とは自主保全士とは

自主保全とは、生産システムの効率を高めるために、設備を使用するオペレーター自身が行う保全活動のことです。これにより生産効率を阻害するロスを排除し、またそのための改善活動を進めることで、設備をあるべき姿に保つとともに、設備に強い人づくりにつながります。

公益社団法人日本プラントメンテナンス協会では、2001年度に「自主保全士」の資格認定制度を創設し、製造オペレーターに求められる知識と技能に関して、製造部門が受け持つ保全の一部の機能や管理技術を客観的に評価するための尺度を定めました。
それ以来、この評価尺度に基づき、検定試験および通信教育を通じて、「自主保全士」を認定してまいりました。

具体的には、以下に示す、自主保全に関する「4つの能力」ならびに、この4つの能力を支え、かつ補完するものとして求められる「5つの知識・技能」を兼ね備えた者を、”設備に強いオペレーター”であると認め、
「自主保全士」として認定しています。

自主保全に関する「4つの能力」自主保全に関する「4つの能力」

設備の自動化・高度化が進む中、オペレーターには「モノづくり」だけにとどまらず、『自分の設備は自分で守る』ことが求められています。担当する設備に関して、”これはおかしい!” と異常の早期発見を行い、故障や不良を未然に防いで最小限の損失に留めることが重要な仕事となります。また、自分で直すことができない場合でも素早く保全部門へ連絡し、不良や故障を未然に防ぐことが求められます。このためには、「異常をいち早く発見する能力」だけでなく、「異常に対して正しい処置が迅速にできる能力」、「正常/異常を定量的に判断できる能力」、「決めた基準をしっかり守ることのできる能力」が求められます。

自主保全に関する「4つの能力」自主保全に関する「4つの能力」

現場管理に関する「5つの知識・技能」現場管理に関する「5つの知識・技能」

また、自主保全に関する4つの能力に加え、現場管理に関する知識・技能(生産の基本、設備の日常保全、効率化の考え方とロスの捉え方、改善・解析の知識、設備保全の知識)をしっかりと身につけることにより、真に「設備に強いオペレーター」として、自分の担当する設備を自分で守り、維持と改善を進め、良い製品をつくり続けることができるようになります。

現場管理に関する「5つの知識・技能」現場管理に関する「5つの知識・技能」

「自主保全士の範囲」(科目・項目・細目)「自主保全士の範囲」(科目・項目・細目)

自主保全士の範囲(科目・項目・細目)は以下のとおりです。

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※概略:概略的な知識を有すること 一般:一般的な知識を有すること 詳細:詳細な知識を有すること

科目1:生産の基本

項目 細目 2級 1級
A.安全衛生 1.安全に対する基本的な考え方 一般 詳細
2.不安全状態と不安全行動
3.安全衛生点検の目的と種類
4.ヒューマンエラー
5.本質安全化
6.ヒヤリハット・ハインリッヒの法則
7.KYT(危険予知トレーニング)
8.指差呼称
9.リスクアセスメント 一般 一般
10.作業の安全
11.安全パトロール
12.管理効果の測定(指標) 対象外 概略
13.労働安全衛生マネジメントシステム 概略 概略
B.5S 1.5Sに関する知識 一般 詳細
C.品質 1.品質管理の基本 一般 詳細
2.QC手法
3.新QC手法 対象外 概略
4.抜取り検査 概略 詳細
5.工程能力
6.QC工程表 対象外
7.品質保全 概略
8.ISO
D.工程管理 1.作業標準 概略 一般
2.作業手順
3.生産統制と納期管理
4.生産管理
E.職場のモラール 1.メンバーシップ 一般 詳細
2.リーダーシップ 概略
F.教育訓練 1.OJTとOff-JT 概略 詳細
2.自己啓発
3.伝達教育
4.教育計画 対象外 一般
5.スキル管理
6.教育訓練体系 概略
G.労務管理 1.現場の管理 概略 詳細
2.時間管理
3.年次有給休暇
H.環境管理 1.公害の基礎知識 概略 一般
2.ゼロエミッション
3.3Rの促進・分別回収
4.環境マネジメントシステム 対象外

科目2:設備の日常保全(自主保全全般)

項目 細目 2級 1級
A.自主保全の
 基礎知識
1.自主保全の考え方 一般 詳細
2.運転と自主保全の役割
3.自主保全の進め方
4.活動目標の立て方
5.成功のポイント
6.活動時間
7.小集団活動の進め方
8.安全作業の指導
B.自主保全活動
 支援ツール
1.活動板 一般 詳細
2.ワンポイントレッスン
3.ミーティング
4.エフ
5.目で見る管理
6.定点撮影・マップ
7.自主保全診断 対象外
8.モデル展開 概略
C.事前準備(モデル
 ライン活動)
1.概要とねらい 対象外 概略
2.展開方法
D.初期清掃 1.初期清掃のねらい 一般 詳細
2.初期清掃の考え方
3.不具合・発生源・清掃困難個所の摘出
4.安全対策
5.初期清掃の効果測定 対象外 概略
E.発生源・困難個所
 対策
1.発生源・困難個所対策のねらい 一般 詳細
2.発生源対策
3.清掃・給油・点検困難個所対策
4.安全対策
5.専門保全からの指導援助
6.発生源・困難個所対策の効果測定 対象外 概略
F.自主保全仮基準
 書の作成
1.自主保全仮基準書作成のねらい 一般 詳細
2.自主保全仮基準書の作成
3.安全対策
4.専門保全からの指導援助
5.自主保全仮基準書作成の効果測定 対象外 概略
G.総点検 1.総点検のねらい 一般 詳細
2.総点検教育 概略
3.総点検の実施
4.異常の顕在化と復元
5.点検仮基準書の作成
6.点検スキルチェック
7.総点検の効果測定 対象外 概略
H.自主点検 1.自主点検のねらいと進め方 概略 詳細
2.自主保全基準の見直し
3.点検時間・方法の改善
4.保全との役割分担の明確化 対象外 一般
I.標準化 1.標準化のねらいと進め方 概略 一般
2.標準化を進める対象の明確化
J.自主管理の徹底 1.自主管理の徹底のねらいと進め方 概略 一般
2.自主管理を継続するための条件

科目3:効率化の考え方とロスの捉え方

項目 細目 2級 1級
A.TPMの基礎知識 1.TPMの生い立ち・定義 概略 一般
2.TPMの基本理念
3.TPMのねらい・特色・効果
4.TPM活動の8本柱
B.ロスの考え方 1.生産活動の効率化を阻害するロス 一般 詳細
2.操業度を阻害するロス
3.設備の効率化を阻害するロス
4.人の効率化を阻害するロス
5.原単位の効率化を阻害するロス
C.設備総合効率
・プラント総合効率
1.設備総合効率・プラント総合効率 一般 詳細
2.時間稼動率
3.性能稼動率
4.良品率
D.故障ゼロの考え方 1.故障ゼロの考え方 一般 詳細
2.故障ゼロへの5つの対策
3.故障・故障モード・故障メカニズム
4.故障解析の意味 概略 一般
5.バスタブ曲線
6.LCC
7.MTBF・MTTR
8.故障度数率・故障強度率
9.信頼性・保全性
E.保全方式 1.BM(事後保全) 概略 一般
2.PM(予防保全)
3.TBM(時間基準保全)
4.CBM(状態基準保全)
5.CM(改良保全)
6.MP(保全予防)・MP情報

科目4:改善・解析の知識

項目 細目 2級 1級
A.改善・解析手法 1.QCストーリー 一般 詳細
2.なぜなぜ分析
3.PM分析 概略
4.作業改善のためのIE 一般
5.VE・VA
6.FTA・FMEA

科目5:設備保全の基礎

項目 細目 2級 1級
A.締結部品 1.締結部品全般 一般 詳細
2.ボルト・ナットの機能
3.ゆるみ止め
4.キー・ピン・コッターと点検ポイント
B.潤滑 1.潤滑の種類と機能 一般 詳細
2.潤滑油剤の劣化 概略
3.潤滑機器の点検
4.潤滑管理の必要性・油種統一
C.空圧 1.空気圧の特徴 一般 詳細
2.空気圧装置の基本構成
3.空気圧機器の特徴と保全 概略
4.空気圧機器の機能と点検ポイント
D.油圧 1.油圧の特徴 概略 詳細
2.油圧装置の基本回路と構成
3.油圧機器の機能と点検ポイント
4.油圧配管のトラブルと点検ポイント
E.駆動・伝達 1.駆動・伝達機器の種類 一般 詳細
2.駆動・伝達機器の機能と点検ポイント
3.駆動・伝達装置の取扱いと保全
F.電気 1.電気の基礎 一般 詳細
2.接地(アース)と漏電
3.電気の測定
4.電気機器の構成(回路図)と点検ポイント 概略
5.検出機器(センサー)の種類と点検ポイント
G.測定機器 1.測定機器の原理と測定方法および管理 一般 詳細
H.改善作業に使用する機器・材料 1.工作機械 概略 一般
2.電動工具、その他の工具 概略 一般
3.金属の切断・結合と溶接
4.改善に必要な材料
I.図面の見方 1.投影法 概略 一般
2.線の種類と用途
3.寸法記入法
4.表面性状と表面粗さ
5.寸法の許容限界

自主保全士の意義自主保全士の意義

日本のモノづくりにおいて、オペレーターの質の高さこそがJAPANブランドを支える礎となっています。しかし、これまでオペレーターの知識と技能は、正しくかつ客観的な評価がなされてきたとは言い難いものでした。

このような状況の中、オペレーターのための資格として誕生した「自主保全士」の意義を、以下のように捉えています。

公平な評価公平な評価
企業内の主観的評価から、第三者の客観的評価に変わることにより、オペレーターの知識と技能が公平に評価される
必要な知識・技術の明確化必要な知識・技術の明確化
オペレーターが習得しなければならない知識と技能が明確化されることにより、学習意欲を刺激し、知識と技能の向上に貢献する
企業の競争力強化企業の競争力強化
高度な製造環境に対応できるオペレーターを数多く輩出することが期待でき、質の高い労働人口が確保されることにより、産業界(企業)の競争力強化を支援する

資格取得のメリット資格取得のメリット

自主保全士の資格取得の学習を通じて期待できる効果は、設備面や作業等のハード面だけでなく、技術・技能の向上や業務に対するモラール向上などの人材育成に寄与することが、大きな特長です。

  • 設備故障や品質不良などの早期発見・早期処置、潜在欠陥の抽出、復元によるロス発生の未然防止
  • 自主保全活動の活性化、ロス削減効果などの向上
  • 作業環境の改善と災害の減少 など

  • オペレーター自身の技術・技能の向上、レベルアップ
  • オペレーター自身の業務に対するモラール向上
  • オペレーターと保全員間の共通会話が可能となり、トラブル対応がスムーズに
  • オペレーターによる保全業務支援により、保全員の保全業務がさらに高度化など

(自主保全士を推進している企業担当者へのアンケート結果より)

機械保全技能検定(機械保全技能士)との違い機械保全技能検定(機械保全技能士)との違い

「機械保全技能検定」は、国が設備保全の重要性を認識し、工場や生産ラインに設置されている機械設備全体の故障や劣化を予防し、維持・保全する業務に必要な知識・技能を評価するものとして設けられた技能検定制度であり、合格すると「機械保全技能士」と称することができるものです。機械保全技能検定は、保全全般に関わる専門的な技術・技能を深く問う内容となっています。

一方、自主保全は、従来多くの企業がそれぞれの部門で持つべき保全の知識や技能ならびに管理技術を明確にすべく、社内の仕組みを構築してきました。しかし社外での尺度が存在しなかったことを受け、製造部門が受け持つ保全の一部の機能や管理技術について、日本プラントメンテナンス協会が独自に設けた資格認定制度です。

下図に示すとおり、生産設備全体の維持管理や保全という点では両者は同じですが、対象となる機能や人、ならびに問われる知識・技能の深さが異なります。つまり、自主保全士で扱う保全とは、主に「日常保全を行う上で必要な」保全に範囲が限定されており、具体的には、点検管理のポイントがわかり、簡単な部品交換ができる程度の知識が問われています。 これらの検定あるいは資格を、教育体系や個人評価にどのように位置づけ、取り扱うかについては、企業や工場の方針、教育の考え方、モノづくり上の課題等を考慮して各自で検討していただく必要があります。

  自主保全士認定
(「自主保全士」)
機械保全技能検定 <詳しくはこちら>
(「機械保全技能士」)
位置づけ 民間資格(主催:公益社団法人日本プラントメンテナンス協会) 国家検定(所管:厚生労働省)
職業能力開発促進法に基づく
対象 製造部門の一般・中堅製造技能者・ 
チームリーダー・初級製造監督者
設備保全業務に関わる方
(主に保全・工務部門)
適用範囲 製造部門が行う日常保全の範囲
および関連する管理業務全般
設備保全に関する知識および
技能全般
特徴 ・日常保全の範囲
(自主保全の業務、基礎技能等)
・生産(安全、品質、工程管理、労務等)、効率、改善などの現場管理全般
・設備保全に関するすべての範囲(機械、電気、機械保全法、材料、安全衛生他)

自主保全士の取得方法はこちら自主保全士の取得方法はこちら

「自主保全士基本ガイド」の公開「自主保全士基本ガイド」の公開

自主保全士は、2001年に創設されて以来、多くの企業において人材育成の一環として広く受入れられ、検定試験受験者と通信教育受講者は累計で約20万人、認定者数も約12万人となりました(2014年度末時点)。
このように本認定制度は、これまで多くの企業の方々に高い評価をいただいております。
しかし、この数字もわが国製造業に従事する就業者数の数%にすぎません。
このような状況を鑑み、今後さらに多くの企業の方々に、人材育成や技能評価の一助としてこの認定制度を活用していただけるよう、検定試験や通信教育の基礎となる基本理念や制度運用上の基準をまとめた「自主保全士基本ガイド」を作成いたしました。
この「基本ガイド」が、自主保全士認定制度のさらなる普及の契機となるとともに、わが国製造業の現場力向上の一助になれば幸いです。
なお、この「基本ガイド」は、製造を取り巻く内外の環境の変化や企業ニーズ、製造・保全に関わる技術・技能の発展などに応じて、定期的に見直しをする予定です。これにより、「実践に役立つ」資格認定制度として、継続的にご活用いただくことをねらいとしております。

 「自主保全士基本ガイド」(PDFファイル) 「自主保全士基本ガイド」(PDFファイル)

マンガでわかる自主保全士のすすめマンガでわかる自主保全士のすすめ

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