企業での
活用事例

導入企業の声

製造と保全の連携による
自主保全活動

  • 富士フイルム株式会社・神奈川工場(神奈川県南足柄市)
  • 保全技術部 三田章博氏

  • 主要製造品目:フラットパネルディスプレイ材料、カラー フィルム、記録メディア
  • 受験歴:2006年度より4年連続4 回目
  • 延べ受験者総数:約550名(富士フイルム全社として)

自主保全士の重要性

富士フイルムでは、工程で品質を作り込むという「ものづくり」の基本的な考え方があり、トラブルの予兆を見逃さず、故障発生を未然に防止することを重要課題としている。
その中で、摩耗劣化により変化する設備の状態を一定条件に管理していくことが求められ、そのために設備の状態変化を点検し、あたかも設備を掌にのせたように網羅的に把握していくことを追求している。しかし、その実現には保全担当部門だけでは難しく、製造現場と一体となった設備管理が必須で、その中で製造現場の自主保全が重要と考えている。

自主保全活動の推進

製造現場では、省人化が進む中で自主保全を行うことが、業務負荷の増大になるとネガティブに捉えられる場合があった。そこで、保全部門が活動を主導して自主保全の大切さを説明し、自主保全のリード役となって活動を推進することに努めた。
活動は次の3つの施策を柱に行い、軌道に乗ってきている。

施策1:自主保全士の資格取得

第1に、オペレーターに基礎力を付けてもらうために、自主保全士の資格取得を支援している。保全マンが講師となって、実技を交えた教育で設備の基礎から知識修得に力を注ぎ、合格率アップに貢献している。
平成18年度から活動をスタートし、これまでに全社で475人の合格者を出すことができた。合格者からは、さらに設備について知りたいという要望が寄せられ、自主保全に対する積極的な姿勢につながっている。

施策2:出前教育

第2に、オペレーターに自工程のプロセス特性と設備のノウハウを身に付けてもらうために、保全マンが対象設備の装置を題材に知識技能を指導する「出前教育」を展開している。半年で112回、延べ680 人が受講し、これで専門知識を得たオペレーターが自信をもって自主保全を行うようになってきている。

施策3:自主保全ラリー

第3に、自主保全を根付かせて後戻りさせない目的で、自主保全の7ステップ展開を「自主保全ラリー」と銘打ってスタートさせた。自主保全士がキーマンとなって自分たちの設備をエリア登録して展開しており、現在、神奈川工場では30チームが活動中で、他工場にも広がる勢いを見せている。
このように、保全部門が、製造と保全が一体となった自主保全活動をリードしていくことにより、高いレベルの「ものづくり」を実現する現場力を獲得していきたいと考えている。

※プラントエンジニア誌2010年5月号に掲載したものを編集して転載しています。情報は当時のものです。